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2019/08/04

相続放棄をご検討の方へ(相続が起こったら…)

先日、ご主人を亡くされた方から、次のような相談(ご依頼)のお電話がございました。

 

「子供たちは相続の放棄をしたから、手続きを進めてほしい」

 

ご持参いただきたい書類を口頭でご案内し、ご相談日の予約を入れました。

 

 

ご相談日、当日。

 

いつものように、家族関係や遺産についてお話を伺いながら、ご持参いただいた書類を確認していると、子供たち全員の「相続放棄申述受理通知書」が・・・。

 

慌てて事情をお伺いすると、無料相談会やご近所の方に相談して、

「家庭裁判所に相続放棄の申出をすれば、遺産のすべてを自分一人が相続する手続きが簡単になる、と聞いたので(家庭裁判所に)出した。」

とお話しくださいました。

 

さて、ここで、何が問題だったのでしょうか?

 


相続を「放棄する」とは?

相続をご相談に来られた方が「放棄」という言葉を使われることが多いのです。

相続で「放棄」という言葉を聞くと、すぐに2つの意味のどちらだろう?と考えます。
  1. 遺産は要らない。
  2. 相続人になりたくない。

1.遺産は要らない。

まずは、「遺産は要らない」という意味で「放棄」を使う場合です。

 

次の2番目で説明する内容と同じ趣旨で使われる場合もあります。
しかし、説明がややこしくなるので、ここでは単純に「遺産は要らない」に限定して進めます。

実は、正確には、相続の放棄ではありません。
遺産分割協議(相続人全員による遺産の分け方についての話し合い)の結果、遺産を受け取らなかった、という意味になります。
遺産分割協議に参加したということは、相続人としての地位を持ったままです。
この点が2番目と大きく異なります。
 

なお、遺産のうち債務(借金)のほうが多くて遺産を放棄したい、という場合には、次の2番の意味で「放棄」を使う場合もあります。

 

2.そもそも相続人になりたくない。

次に、「そもそも相続人になりたくない」という意味での「放棄」を使う場合です。

 

この意味で使う「放棄」が、法律上の『相続の放棄』となります。

 

ただし、「知らない」「嫌だ」「関わりたくない」などの理由で放置しているだけではダメです。
一定期間内に、家庭裁判所に対して、手続きをする必要があります。

 

家庭裁判所に対して、きちんと手続きをして、受理されると、相続人としての地位を失います(相続人ですらなくなる)。
 

『相続の放棄』をした場合の効果

家庭裁判所に対して、きちんと手続きをして、『相続の放棄』の申述が受理された場合はどうなるのでしょうか?

 

 

相続人としての地位を失います。

その結果、相続人の数からも除外されます。

 

つまり、「そもそも相続人でなかった」ことになるので、プラスの遺産を相続する権利も失いますが、遺産の中に借金があったとしても支払う必要はありません。

 


『相続の放棄』の手続きできる場合

相続放棄の申述は、次の2つの要件をすべて満たした場合にできます。

  1. (ご自身が)相続人であることを知った時から3か月以内
  2. 遺産を処分する前であること

 

1.相続人であることを知った時から3か月以内

「相続人であることを知った時」とは?

いつから3か月以内なのか?が大事になります。
単純に、被相続人が亡くなったことを知った時ではありません。
配偶者や子であれば、亡くなったことを知った時、の場合が多いと思われます。
しかし、被相続人の兄弟姉妹(第三順位の場合)の方の場合、被相続人の子が相続放棄をした結果、相続人となることがあります(いわゆる「再転相続人」。再転相続人の熟慮期間の起算点については別ブログをご参照ください。)。
そこで、相続人なったことを知った時から3か月を起算します。
被相続人の死亡(相続開始)時を起算点とすると、たまたま被相続人の死亡を知りえる状況になかった場合や上記のような再転相続の場合には、事実上、相続放棄ができなくなるので、相続人の主観を起算点としています。
なお、相続人ごとに「知った時」は異なることもありますので、相続人ごとカウントが始まります。
 

2.遺産を処分する前であること

遺産を処分(売る、廃棄、解約など)してしまうと、相続人であることを承認したものとみなされます(「単純承認」といいます)。

 

たとえば、被相続人名義の不動産を売却しておいて、「借金が見つかったから相続の放棄をします」はできません。

相続を放棄するかどうかは、他の方に重大な影響を及ぼすことがあります。

自ら相続人っぽく振舞っておいて、都合が悪くなったから「放棄します」は許されない、ということになります。

 


『相続の放棄』ができない場合とは?

上記の”『相続の放棄』ができる場合とは?“で書いてあることの裏返しです。

  1. 相続人であることを知った時から3か月を経過した
  2. 遺産を処分した

 


『相続の放棄』の落とし穴

ここで冒頭のお話に戻ります。

 

弁護士や司法書士にはおなじみの落とし穴ですが、何も知らずに『相続の放棄』をしてしまうと思わぬ事態に陥ることがあります。

 

何が問題なのか?

少しややこしい話ですが、相続人には順位が決められています。

 

第1順位 子

第2順位 直系尊属

第3順位 兄弟姉妹

 

被相続人の子がいれば、子が相続人となります。

子がいなければ直系尊属、子も直系尊属もいなければ兄弟姉妹、となります。

 

※配偶者は、常に相続人となります。

 

何度も書きますが、相続の放棄の効果は、『相続人としての地位を失う』ことです。

 

冒頭の事例のように、子供たち全員が相続の放棄をしてしまうと、第1順位の子の相続人がいなくなりますので、順位が繰り下がります。

 

ご相談者(被相続人の妻)は、被相続人である夫の直系尊属(親)または兄弟姉妹と遺産分割協議しなければならなくなります。

 

良かれと思ってしまったことが、全く違う結果になってしまったのです。

 


まとめ

相続の放棄は、被相続人の負債を免れることができますが、反対に相続人の地位を失うという重大な効果があります。

 

3か月の短い期間しか申述できませんが、慌てず慎重にご検討ください。

 

相続財産の調査が、3か月以内に終わりそうになければ、この期間を伸長する手続きもあります。

 

 

ご自身が相続人であることが分かったら、できるだけ早めに弁護士や司法書士などの法律の専門家にご相談されることをお勧めいたします。

 


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tagPlaceholderカテゴリ: 相続, 遺産承継

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