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2019/08/05

相続放棄の取消・撤回 ~相続放棄をご検討の方~

滅多にないことかと思いますが、家庭裁判所に相続の放棄を申述して、受理された後のお話しです。

 

家庭裁判所に対して、相続放棄の申述をすると、相続人から除外されるという重大な効果をもたらすことから、通常は慎重に判断して行うことでしょう。


相続の放棄は撤回できる???

原則

家庭裁判所に相続放棄の申述を受理された場合、原則、撤回することができません。

たとえ熟慮期間3か月以内であっても、できません。

 

取消できる要件

当然ながら、無制限に取り消しが認めれるわけではありません。

相続人の都合で、一旦受理された相続放棄を止めて、遺産を受け取るのでは、他の相続人や相続債権者にとっては大迷惑です。
そこで、一定の期間内に、法律に定められた要件に該当した場合にのみ取り消しができるとされています。

 

  1. 詐欺又は脅迫による場合(民96①)
  2. 未成年者が法定代理人の同意を得ないでした場合(民5)
  3. 後見監督人がある場合、被後見人若しくは後見人がその同意を得ないでしたとき(民864・865)
  4. 成年被後見人本人がした場合(民9)
  5. 被保佐人が保佐人の同意を得ないでした場合(民13)

 

取消の申述ができる期間

取消の申述は、次の期間内にできます。

  1. 追認することができる時から6か月以内(6か月を経過すると時効消滅します)
  2. 放棄の時から10年を経過したとき

 

1の「追認することができる時」とは、次のようなときです。

  • 脅迫→脅迫状態が終了したとき
  • 詐欺→本人が詐欺によることを知ったとき
  • 成年被後見人については本人が能力を回復して相続放棄を知ったとき

 

上記の取消原因が存在し、申述ができる期間内に、相続開始地の家庭裁判所に対して、相続放棄取消の申述をし、受理された場合に、相続放棄は取り消されます。

 

 

ただし、家庭裁判所がした相続放棄の取消申述の受理は、取消原因の存在を終局的に確定させるものではないとされています。

他の相続人は、訴訟で相続放棄の有効を主張することができます。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)

第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。

2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。

3 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。

4 第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 


単純承認と相続の放棄

そもそもの前提のお話となりますが、単純承認をした場合は、相続の放棄はできません。

 

 

ここで注意していただきたいのは、相続放棄をした後であっても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、消費したり、わざと相続財産目録に記載しなかったときには、単純承認したものとみなされます。

 

ただし、相続放棄によって、新たに相続人になった方が承認した後は、単純承認したものとみなされることはありません。

新たに相続人になった方の地位を守るための例外規定となります。

 

(単純承認の効力)

第九百二十条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

 

(法定単純承認)

第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

 


まとめ

一旦受理された相続放棄を上記の各要件に該当すれば、取り消す方法はあります。

しかし、原則的には、撤回は認めれておりませんので、取り消すことはむつかしく、仮に取消ができたとしても、余計な労力と費用をかけることになります。

 

そもそものお話となりますが、前提となる相続放棄の申述を検討される場合は、慎重に判断されることをお勧めします。

 

 


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