ある法人様の解散・清算の手続きスムーズに進め、早く残余財産の分配を受けるべく、当事務所にご依頼いただきました。
※お断り
本記事の趣旨は、組合に出資した出資金を引出す場合や脱退する場合の注意喚起を促すことです。
組合形態の各種法人やその仕組み並びに出資行為そのものを否定することが目的ではありません。
出資証券とは?
「組合」として成立している法人のサービスを利用したい場合には、組合員になる必要があります。
組合???
信用組合と同じような仕組みを取っているのが信用金庫です。
設立する準拠法が異なりますが、出資金の処分に関する大まかな部分は同じです。
- 信用組合 → 中小企業等協同組合法
- 信用金庫 → 信用金庫法
出資金(出資証券)を処分するためには…
- 持分の譲渡
- 自由脱退
- 法定脱退
- 組合の解散
持分の譲渡
株を売買するのと同様に、持分も譲渡することができます。
ただし、組合の承諾が必要となります。その手続きについては、お持ちの出資証券を発行している組合にお問い合わせください。
自由脱退
組合員の意思により組合を脱退することで、出資した持分(出資金)の払い戻しができます。
自由脱退の場合の注意点は次の通りです。
- 定款の定めにより、いくら払い戻してもらえるかが決まっている。
- 払い戻しの時期は、申し込みの時期に関わらず、申し込みをした事業年度の決算が終ってからとなる。
自由脱退を選択される場合は、定款と事業年度を確認してから手続きをされることをお勧めいたします。
法定脱退
次の事由に該当する場合は、強制的に組合から脱退させられ、持分の払い戻しを受けることになります。
- 組合員たる資格の喪失
- 死亡又は解散
- 除名
※条文上は、他に2つの事由がさだめられていますが、説明が複雑になるので本ブログでは割愛いたします。
自由脱退の場合と同様に、法定脱退の注意点は同じです。
- 定款の定めにより、いくら払い戻してもらえるかが決まっている。
- 払い戻しの時期は、申し込みの時期に関わらず、申し込みをした事業年度の決算が終ってからとなる。
例外的に、「相続」の場合のみ、相続加入という制度があります。
定款で定められた期間内に、組合に申し出て手続きをすることにより、その相続人が被相続人の組合員としての権利義務を承継します。
※組合員の持分を共有することができないため、必ず1名の相続人を選ぶ必要があります。
組合の解散
組合そのものが解散した場合です。
この場合は、株式会社と同様に、清算手続きを経て、組合財産に余りがあれば残余財産の分配として持分の払い戻しを受けることができる可能性があります。
なお、組合のことを定めた中小企業等協同組合法では、解散・清算の手続きについて、その多くを会社法を準用しています。
冒頭のお話のつづき
ご依頼主の法人は、2月に解散決議をしました。
法定脱退事由に該当します。
A信組の事業年度は、4月1日~翌年3月31日です。
5月に、A信組に対して、解約手続きを行ったため、出資金の払い戻しを受けるために約1年待つことに・・・。
まとめ
このように組合へ出資されている場合は、すぐに現金化できません。
組合には、存在根拠となる法律により独特のルールがあります。
出資金の払い戻しをなされる方は、払い戻し方法として、どのような手続きを取れるか、組合によく確認してから行ってください。
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