概要
一部の相続登記に係る登録免許税は免除となります(租税特別措置法第84条の2の3第1項)。
ただし、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの期間限定となります。
どのような場合に登録免許税は免除となる?
- 既にお亡くなりになった方を、所有者(所有権登記名義人)として”相続”登記する場合。
- 免除されるのは、『土地』のみ。
したがって、1の要件に該当しても、『建物』には通常とおり、固定資産税評価額の0.4%(1000分の4)が課税されます。
具体的な事例で説明します。
Aさんを所有者とする不動産があります。
平成26年3月3日、Aさんは亡くなりました。 (Aさんの相続人はBさんです。)
平成29年7月3日、Bさんは亡くなりました。 (Bさんの相続人はCさんです。)
Bさんは、亡くなる前の平成27年5月3日に、第三者であるDさんに不動産を売却していました。 しかし、登記名義人はAさんのままです。 |
上記のような場合に、Dさんを所有者とする登記を申請するためには、前提として、次の2件の申請をすることになります。
Bさんは既に亡くなっているので、CさんがBさんの相続人として申請します。
1件目
(亡)Aさんから(亡)Bさんを所有者とする相続登記
2件目
(亡)BさんからDさんへ、平成27年5月3日売買を原因とする所有権移転登記
※(亡)Bさんは、既に死亡しているため、相続人のCさんが手続きを行います。
今回の免税措置では、1件目の相続登記の際にかかる登録免許税が不要、ということになります。一方、2件目の売買に係る登録免許税は、通常とおり必要です。
なお、上記の例は、不動産仲介会社を通さない取引では時々見受けられるケースです。
「費用が高くつくから登記までは止めておこう」、「売主・買主ともに仲良しだから登記まではしないでいいだろう」などの判断で、登記を放置されることはオススメできません。
後々のトラブル防止のためにも、きちんと登記すべき時に登記の申請をされることを、強くオススメします。
申請書への記載方法
申請書の登録免許税の欄に、
「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税(あるいは、一部非課税)」
と書きます。
計算した登録免許税額を記載したところの下に書いておけば良いです。
まとめ
既に亡くなられた方を所有者として登記することは、時々あります。
今回の免税措置は、特に長らく相続登記を放置した結果、何代にもわたり相続が発生し、相続登記が進まない不動産を何とか解消する目的であると思われます。
(今のところ)2年間限定の措置なので、これを機に、後の世代のために先祖代々の相続関係を解消してみてはいかがでしょうか?
なお、免税されるのは『土地』のみのため、ご注意ください。
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