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2021/10/05

遺言書を見つけた相続人の方へ(遺言書の検認手続き)

遺言書を発見したら・・・

遺品を整理していたら「遺言書」と書かれた封筒を見つけた。

あるいは、お亡くなりになる前に、封筒に入った遺言書を託されていた。

 

このような場面で、

  • 中身を確認したい
  • 相続人全員が集まる法事のときにでも開封しよう
  • すぐに遺産の整理をしたい

と思われる方は結構多いのではないでしょうか?

 

そのお気持ちはよく分かります。

 

当事務所へご相談にお越しの方でも、上記のような理由で開封された遺言書を持参される方は少なからずいらっしゃいます。

 

しかし、その封筒を開けてはいけません。

 

特に、相続人全員の前で開封された場合には、公正明大にやっているのだから問題なさそうに思われるかもしれませんが、それでもダメです。

 


遺言とは?

まず、「遺言」とは何か?について整理してきましょう。

 

遺言とは、遺言者の死亡によって一定の効果を発生させることを目的とする相手方のない単独行為です。

『第2版 一人でつくれる契約書・内容証明郵便の文例集(P.316)』(安達敏男・吉川樹士/著、日本加除出版)

 

簡単に説明すると、遺言者(被相続人)の遺産の管理・処分・分配方法などに関する最後の意思表示のことです。

 

その意思表示を書面化したものが「遺言書」となります。

 

遺言は口頭でもできる?

ご相談者;「生前に父が遺産を全部私に言っていたので、手続きをお願いします。」

 

司法書士;「遺言書はございますか?」

 

ご相談者;「遺言書はありません。でも、父は本当にそう言っていたんです。」

 

 

ご相談で、時々、このようなお話をされる方がいらっしゃいます。

 

ご相談者の方のおっしゃていることは真実かもしれません。

しかし、遺言は書面で作成する必要があり、口頭での遺言は認められていません。

 

遺言の効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

遺言者が死亡したら、口頭の内容を確認しようがありません。

そこで、民法は、遺言は書面で作成するように定めています。

 

「では、録音や録画したものも遺言になるのではないか?」と質問されそうですが、答えは「書面で作成したもの」だけが遺言として取り扱われます。

 

遺言の作成方法は、民法に規定されています。

遺言者の最後の意思表示を明確にするために、形式的な要件もきちんと守っている書面のみが遺言書として扱われる仕組みとなっています。

 

遺言の種類

民法では、下記の表のとおり合計7つの遺言の作成方法(種類)が定められています。

このブログでは、各遺言の細かい注意点などを説明するものではありませんので、概要のみの説明といたします。

 

一般的には、普通方式のうち「自筆証書遺言」または「公正証書遺言」で作成されています。

 

特別方式の遺言は、緊急性を要する特殊な事情がないと作成できません。

したがって、ほとんどの場合は、普通方式で遺言書を作成することになります。

 

なお、これまで多くの方の遺言書作成のサポートや既に作成された遺言を用いての相続手続のご依頼をいただきますが、普通方式の秘密証書遺言及び特別方式の遺言は、これまで見たこともありません。

 

方式 遺言の種類 概略(細かい要件は省略しています)
普通方式 自筆証書遺言 原則、遺言者が全文自筆で作成する遺言 
公正証書遺言 遺言者が遺言の趣旨を公証人に伝えて、公正証書で作成する遺言
秘密証書遺言 遺言者が遺言の内容を記した証書を作成し、その証書を封をし、遺言者・公証人・証人がその封筒に署名・押印などをする遺言
特別方式 死亡危急時遺言 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が、証人3人以上の前で遺言の趣旨を伝えて作成する遺言(遺言の日から20日以内に家庭裁判所に請求してその確認を得なければならない)
伝染病隔離者の遺言 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者が、警察官1人及び証人2人以上の立会いをもって作成する遺言
在船者の遺言 船舶中に在る者が、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって作成する遺言
船舶遭難者の遺言 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者が、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言を伝えて作成する遺言(後日、証人または利害関係人から家庭裁判所に請求して確認を得なければならない)

遺言書の入った封筒を開けてはいけない理由

前述のとおり、特別方式は特殊な場合でのみ作成されるレアなものになります。

したがって、ここからの内容は普通方式の遺言に限定してお話を進めます。

 

遺言書の検認

まず、遺言書の検認とは、「相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続(※)」です。

※2 最高裁判所ホームページより一部抜粋

 

つまり、遺言書の証拠保全の手続となります。

したがって、たとえ相続人全員の前で開封したとしても、証拠保全措置が取られていないため「問題なし」とはなりません。

 

遺言書の検認手続きは、遺言書の有効・無効を判断する手続きではない

誤解されやすいのですが、家庭裁判所で行う遺言書の検認手続きは、その遺言書の有効または無効を判断する手続ではありません。

 

遺言書の有効・無効の判断が問題となる場合には、家庭裁判所での遺言書の検認とは別に、地方裁判所に対して、遺言無効確認の訴えを提起して、裁判によって決着をつけることになります。

 

すべての遺言で「検認」の請求をしなければならないわけではない

以下の2つの方法で作成・保管されている遺言書の場合には、検認が不要となります。

  1. 公正証書遺言
  2. 自筆証書遺言のうち法務局に遺言書を保管した場合

 

この2つの遺言の共通点は、遺言書の原本を役所で保管している(証拠保全が図られている)ことです。

つまり、たとえば、遺言者の生前または死後に、自分に不利な遺言がされていることを知ったとしても、遺言書を偽造・変造することができないので、検認手続きをする必要がありません。

 

遺言の種類(普通方式) 検認の要・不要
公正証書遺言  不要
自筆証書遺言 法務局で保管 不要
法務局で保管していない 要
秘密証書遺言 要

遺言書の検認をしなかったらどうなる?

民法1005条では、遺言書の検認をしなかったら、『5万円以下の過料』に処されるとありますが、その他にも不利益があります。

 

たとえば、遺言書の検認の手続をしないで、遺言書に「Aに相続させる」と書いてあったのでその遺言書を添付して自宅の相続登記を申請したとします。

申請後、法務局から連絡があり、家庭裁判所での検認手続きをした遺言書の提出を求められます。

遺言書の検認の手続は、家庭裁判所に申立てしてから2~3か月程度かかりますので、却下または取下げを促さられることになるでしょう。

 

結局、遺言書の検認の手続を経なければ、相続手続を先に進めることができないのです。

 

遺言書の封筒を開けてはいけない理由

繰り返しとなりますが、遺言書の検認の目的は遺言書の偽造・変造の防止です。

 

封筒くらい開けても大丈夫では?と思われるかもしれません。

しかし、遺言書の入った封筒を保管してい相続人が、封を開けた場合、自己に不利益な内容を知って遺言書をすり替えることも考えられます。

また、内容を偽造・変造することもできるようになります。

 

そのため、遺言書を発見した(または託されていた)場合は、何もせずに”そのまま”の状態で保管してください。

気軽な気持ちでやったことであったとしても、いたずらに相続に関する紛争を生じさせる可能性がありますので、封筒を開ける行為も控えてください。

 

なお、封筒の開封は、家庭裁判所で行われる検認時に行われます。

 

もし遺言書を偽造・変造等したらどうなる?

民法891条に、相続人の欠格事由が定められています。

欠格事由とは、法定相続人に該当したとしても、相続人になることができない事由のことです。

 

同条5号では、「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」と定められており、もし遺言書を偽造・変造等をした相続人は欠格事由に該当し、相続人の地位を失います。

 


遺言書の検認の請求

遺言書を発見または保管している者は、相続開始後、遅滞なく、家庭裁判所へ『遺言書検認の申立て』をしないといけません。

遺言書の開封は、家庭裁判所において開封されます(民法1004条)

 

遺言書の検認の流れ

事前準備

必要書類の準備

↓

遺言書の検認手続きの申立書作成

↓

印紙・予納郵券の準備

 

申立て以降

申立書に印紙を貼って、必要書類と予納郵券を添えて家庭裁判所に提出

↓

(申立書等に問題がなければ)

裁判所から相続人に対して検認期日のお知らせ

↓

検認期日

↓

検認済の証明書請求・取得

↓

相続手続

 

必要書類

遺言書の検認の申立てに必要な書類は次のとおりです。

申立てをする家庭裁判所によって必要書類が異なる場合がございますので、事前に家庭裁判所に確認されることをオススメいたします。

 

必要書類 説明
遺言者の戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本 出生から死亡に至るまですべて
相続人全員の戸籍謄本 ※1、※2
受遺者の戸籍謄本 申立先の裁判所によっては必要
遺言者の住民票除票または戸籍の附票 申立先の裁判所によっては必要
相続人全員の住民票または戸籍の附票 申立先の裁判所によっては必要
受遺者の住民票または戸籍の附票 申立先の裁判所によっては必要
遺言書 原本を、検認日当日に持参します
申立人の印鑑 検認期日当日に持参します(認印で可)

※1 代襲相続が生じている場合(例:遺言者の子が死亡していて孫がいる):

被代襲者(遺言者の子)の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本が必要です。

※2

相続人が、被相続人の兄弟姉妹の場合:

被相続人の直系尊属(両親)の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本が必要です。

 

なお、後の相続登記などで上記書類を利用する場合は、原本還付してもらえます。

その場合は、すべての書類をコピーを取って、原本と併せて提出します。

ただし、裁判所によっては原本還付ができない場合もありますので、ご注意ください。

 

費用(申立て実費)

費目 費用
申立手数料 遺言書1通につき収入印紙 800円
検認済証明書 証明書1通につき収入印紙 150円
予納郵券 詳細は各家庭裁判所にお問い合わせください。※1

※1 【参考】神戸家庭裁判所(本庁)の場合 令和3年9月28日現在

84円切手 5枚+(当事者の数×2)

10円切手 当事者の数×1

上記の他、郵送で申立てを行う場合には、郵送費用(簡易書留)がかかります。

Q&A

Q1

家庭裁判所から検認期日のお知らせが届きました。必ず出席しないといけませんか?

A1

必ずしも出席する必要はありません。

 

tagPlaceholderカテゴリ: 相続, 不動産登記, トラブル, 遺産承継

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