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2020/10/24

法務局における遺言書の保管2(遺言書保管制度の申請方法) ~遺言書の作成や遺言書の見直しを検討されている方に~

はじめに

民法の相続に関する規定の改正がされましたが、未施行であった法務局での自筆証書遺言書保管制度(以下「遺言書保管制度」といいます。)が、令和2年7月10日よりスタートしました。

  

せっかくの機会なので、令和2年7月10日当日に、自身の遺言書を作成して保管手続を行いました。

その経験などを踏まえて、本ブログを作成しております。

 

関連ブログ

法務局における遺言書の保管1(遺言書保管制度のメリット・デメリット) ~遺言書の作成や遺言書の見直しを検討されている方に~

 

民法改正(相続)~遺言書関係~【遺言書作成をご検討の方向け】

 


遺言書保管制度の申請方法、申請にあたっての注意点となります。

 

 

1.遺言書の作成

遺言書の作成

遺言書保管制度は、『自筆証書遺言(遺言者が手書きした遺言書)』を法務局で保管する制度です。

つまり、自筆証書遺言であることに変わりありません。

新しい遺言書の形式ができたわけではありません。

 

遺言は、民法において、形式的な要件が定められております。

形式的要件については、後日、法務局でもチェックしてくれますが、作成段階から形式面に注意を払ったほうが良いでしょう。

 

自筆証書遺言の形式的要件

  • 遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押します。

遺言書の内容は、明確に、後日疑義が生じないように作成しましょう。

必ずしも実印である必要はありません。

  • 相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、自書する必要はありませんが、その目録の各ページに署名と押印が必要です。

ワードなどの文書作成ソフトを利用した目録のほか、たとえば不動産登記簿や通帳の写しなども目録として使用できます。

  • 共同遺言の禁止

たとえば、ひとつの遺言書に、夫婦がそれぞれ遺言するようなものは認められません。

 

遺言書保管制度「独自」の形式的要件

遺言書保管制度では、法務局で遺言書をスキャンして保管する関係上、次のような独自の形式的要件が設けられています。

  • 用紙

A4サイズに限定されます。

スキャンして保管されるので、模様が入っている用紙の場合は文字が読めなくなる可能性があります。できるだけ何の模様も入っていない用紙を使用されることが推奨されています。

  • 余白

自筆証書遺言は、手書きをする遺言書です。ついつい用紙全体を使って書いてしまいますが、スキャンして読み取る関係上、余白が設けられています。

 

上 5mm以上

左 20mm以上

右 5mm以上

下 10mm以上

  • ページ数

ページ数/全体のページ数

 

たとえば、3ページ中の1ページの場合 1/3

 

遺言書の作成準備

遺言書の形式的要件を確認したら、次に実際に遺言書を作成することになります。

しかし、いきなり作成するのは、難しいのではないでしょうか?

 

そこで、まず作成準備として、最低でも以下の2点を整理しておきましょう。

  1. 財産の内容
  2. 推定相続人(住所・氏名・生年月日など)

 

遺言書の作成

準備が整ったら、遺言書を作成してみましょう。

作成にあたっては、上記の独自の形式的要件などを事前に確認してください。

 


2.申請方法

法務局に予約する(遺言書保管日の予約)

管轄を調べる

官公庁・裁判所には、「管轄」という概念があります。

どこの法務局でも手続きができるとは限りません。

たとえば、不動産登記であれば、その不動産所在地をエリアを取り扱う法務局に申請することになります。

 

遺言書保管制度においても、「管轄」があります。

まず、ご自身の遺言書を保管してくれる法務局がどこかを調べる必要があります。

 

遺言書の保管ができる管轄法務局(遺言書保管所)は、以下のいずれかを基準にして決められています。

  1. 遺言者の住所地
  2. 遺言者の本籍地
  3. 遺言者が所有する不動産の所在地

ただし、すでに他の遺言書を保管している場合は、その保管している遺言書保管所となります。

 

法務省のホームページでは、「遺言書保管所管轄一覧」が公開されています。

東京都の板橋出張所を除き、遺言書保管所は、本局又は支局でのみ受け付けているようです(「●●法務局▲▲出張所」であれば、ご自宅と近かったとしても受け付けてもらえません)。

 

法務局に予約する

自筆証書遺言を作成し、準備ができたら、法務局で遺言書を保管する手続き日の予約をします。

 

3通りの予約方法があります。

  

(1)専用ホームページで予約 

  • 専用ホームページで予約すると、予約日前にリマインドのメールが届きます。

 

(2)法務局に電話して予約

  • 平日8:30~17:15まで(土・日・祝日・年末年始を除く。) 

(3)法務局に行って、窓口で予約

 

予約に関する注意事項

  • 法務局は全国各地にありますが、遺言書保管を受け付けてくれる法務局は限られています。
  • 予約可能期間は、予約した日から数えて2業務日(土日祝日除く、平日のみで数えてください。)後から30日先までです。
  • 当日予約はできません。
  • 予約は、遺言者本人が行う必要があります(ただし、当職の経験から、司法書士が遺言者の代わりに予約することができました)。
  • 遺言書保管は、法務局の中でも「供託課」が取り扱っています。

 

遺言書を保管する(遺言書保管日)

法務局に遺言書を保管する場合、遺言者である本人自らが、法務局に出向かないといけません。

※代理不可。

 

必要書類

遺言書保管日に、次の書類を持参します。

※政令や省令まで読まないと分からない・・・。

 

(1)遺言書

  • ホッチキス止めはしないこと。
  • 封をしてはいけません。

(2)申請書

  • 法務省のホームページにて、申請書をダウンロードできます。

(3)住民票の写し

  • 発行後3か月以内のもの
  • 本籍地の記載があるもの

(4)戸籍

  • 発行後3か月以内のもの

(5)本人確認書類(有効期限内のものをいずれか1点)

  • マイナンバーカード
  • 運転免許証
  • 運転経歴証明書
  • 旅券
  • 乗員手帳
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

(6)手数料

  • 1通3900円です。
  • 収入印紙を貼って、支払うことになります。
  • 収入印紙は、法務局の売店でも販売しています。当日、買い忘れても大丈夫です。作成には時間がかかるので、その間に購入しても問題ありません。

 

なお、遺言書が日本語以外の外国語で記載されている場合には、上記の他に「日本語の翻訳文」が必要となります。

 


3.遺言書保管制度の注意点

申請書を作成できる資格者

法務局に提出する書類となりますので、司法書士法第3条第1項2号が規定されます。

したがって、弁護士を除き、司法書士以外のものが業として申請書を作成することはできません。

 

【参考】司法書士法第3条第1項2号

法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。<ただし以下、略>

 

遺言の撤回・変更

遺言書保管制度特有のことではありませんが、遺言はいつても撤回・変更できます。

 

一度保管された遺言書を撤回して変更することも可能ですし、撤回をせずにあたらにもう1通作成することも可能です。

 

撤回・変更の場合、前の遺言と重複する部分は、後の遺言が優先される、というルールがあります。

しかし、いざ遺言執行の段階において、残されたご家族が混乱しないように、どの部分を変更・撤回するのかを明確に示しておくことをお勧めします。

 

なお、遺言を作成してから、死亡するまでの間に、遺言の対象となった財産を処分するなどして、死亡時点で存在しなかった場合には、その部分は無効となります。

 

手数料

遺言書の保管の申請(申請・請求者:遺言者)

1件につき、3900円

 

遺言書の閲覧の請求(モニター)(申請・請求者:遺言者、関係相続人等)

1回につき、1400円

 

遺言書の閲覧の請求(原本)(申請・請求者:遺言者、関係相続人等)

1回につき、1700円

 

遺言書情報証明の交付請求(申請・請求者:関係相続人等)

1通につき、1400円

 

遺言書保管事実証明書の交付請求(申請・請求者:関係相続人等)

1通につき、800円

 

申請書等・撤回書等の閲覧の請求(申請・請求者:遺言者、関係相続人等)

一の申請に関する申請書等又は一の撤回に関する撤回書等につき、1700円

 

※遺言書の保管の申請の撤回及び変更の届出については手数料はかからない。

 

保管期間

遺言者の出生の日から起算して120年を経過した日まで保管されます。

遺言者が死亡した場合には、原則として50年間保管されます。

 

まとめ

 民法が改正され、またメディア等で終活に関する情報提供がなされていることもあり、遺言は身近な制度になってきたように思います。

 

しかし、遺言があることによって助かった・楽になった相続もあれば、反対に、遺言の存在により紛争が生じた相続もあります。

 

遺言は、遺言者が死亡(相続が開始)して、はじめて効力を有します。

深読みすると、相続が開始して、遺言の内容を相続人が見たときその内容を確認しようとしても、遺言者はすでに死亡しており、直接その真意や内容を確認をすることができません。

 

遺言が存在すると、相続人・受遺者は、遺言の内容に縛られます。

 

遺言の場合、形式的な要件を確認することは、もちろん大事なことですが、

何よりも大事なのは、その内容です。

 

将来的な紛争が生じないように、内容について熟慮された上で、作成されることをお勧めいたします。

 

当事務所でも、遺言書作成に関するご相談をお受けてしております。

是非、ご活用ください。

 

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