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2020/05/15

みなし解散後の会社継続

このブログでは、みなし解散させられた会社を復活(会社継続)させる方法について、まとめたいと思います。

 

なお、本ブログにおいて、株式会社とは、有限会社以外の株式会社を指します。

 

 

【補足】

有限会社は、「有限会社」と名乗ることができる株式会社とされています。

(現在、新規で有限会社を設立させることはできません。)

有限会社(特例有限会社)は、役員の任期に関する定めはありません。

 


みなし解散とは!?

株式会社であれば、少なくとも約10年に1度は変更登記をしなければなりません。

これは、株式会社の規模又は定款の内容によりますが、取締役又は監査役(以下「取締役等」といいます。)の任期を最長10年と設定できるため、少なくとも10年に1度は役員変更登記をしなければならないからです。

  

 

<補足>

任期が満了すれば、取締役等は任期満了により退任します。

任期が満了すれば、株主総会決議で、新たに取締役等を選任し直さないといけません。

まったく同じ取締役等を選任したとしても、役員変更(重任または再任)の登記を申請しなければなりません。

なお、任期満了後、取締役等を選任し忘れた場合(選任懈怠)においても、権利義務取締役等として、任期満了した取締役等として義務を負い続けることになります。

 

 そこで、会社法472条には、変更登記を1度も申請することなく12年経過した株式会社を「休眠会社」として取り扱うこととし、『解散したものとみなす』と規定しました(以下、「みなし解散」といいます。)。

 

 

<補足>

実際には、いきなり「みなし解散」させられることはありません。

法務局は、このまま何も登記をしなければみなし解散させる旨の通知を、対象となる株式会社に対して送ります。

また、同様の内容は、官報にも公告します。

この通知等に対して、一定期間内に何の反応も示さなかった会社を「みなし解散」させる取り扱いです。

 

【参考】会社法第472条(休眠会社のみなし解散)

  1. 休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し二箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その二箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。
  2. 登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければならない。

 


「みなし解散」の効果

「みなし解散」となった場合の登記

「みなし解散」となった場合に、その株式会社の登記簿に、『解散』の登記がされます。この登記は、職権、つまり登記官が法律上の権限により登記します。

 

【参考】登記例

平成30年12月12日会社法第472条第1項の規定により解散

平成30年12月12日登記

 

【参考】「みなし解散」以外の株式会社を解散事由(会社法第471条)

  1. 定款で定めた存続期間の満了
  2. 定款で定めた解散の事由の発生
  3. 株主総会の決議
  4. 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
  5. 破産手続開始の決定
  6. 解散を命ずる裁判

「みなし解散」となった会社とは?

まず、「解散」とは、株式会社の消滅を意味しません。

 

株式会社が解散したとしても、資産や負債の財産が残ります。

個人であれば「相続」されますが、法人の場合は残った資産や負債をきれいさっぱりに片づけて、ゼロにしないといけません(合併・会社分割などの場合を除きます)。

この残った資産や負債をゼロにする手続きが、「清算」です。

(解散した株式会社を、「清算会社」と呼びます。)

 

清算が終れば、清算結了の登記をします。

この清算結了の登記をもって、当該株式会社は消滅します。 

 

<補足>

解散時点で、すでに資産や負債もゼロであったとしても、いきなり清算結了の登記はできません。

このような場合でもあっても、一定の清算手続きを踏んで、清算結了の登記をしなければなりません。

 

つまり、「みなし解散」させられた株式会社は、「みなし」と付いていますが、「解散」には変わりありませんので、清算会社に移行することになります。

 

上記のとおり、清算会社となっているため、これまでの業務を終了し、その会社そのものを消滅させる方向に向かって、業務を行うことになります。

 


会社を復活させる方法

解散し、清算結了をする前の清算会社を、通常の株式会社に復活させることを「会社継続」と言います。

 

「みなし解散」させられた株式会社も、会社継続の手続をとることができます(会社法第473条)。

ただし、みなし解散となった後、3年以内に会社継続の手続を取らないといけません。

 


会社継続の具体的な処理方法

会社を継続するためには、株主総会の開催が必要となります。

 

しかし、その前に、「みなし解散」の登記がされると、自動的に取締役と代表取締役の登記も抹消されます。

 

まず、役員を選任することになりますが、みなし解散させられた株式会社は清算会社のため、「清算人」と「代表清算人」を選任します。

 

【補足】清算人の選任方法

ア 定款に定めていれば、定款の規定に従う。

イ 定款に何も定めていなければ、直前に取締役だった者が清算人に就任する(法定清算人)。

 

そして、会社継続を含む、次の事項を決議します。

  1. 会社継続
  2. (会社継続後の)取締役等の選任
  3. その他会社継続後の機関設計に必要な事項又は定款変更事項

 

登記手続きとしては、清算人選任から会社継続まで一つの申請で行いますが、複数の登記を申請する関係上、登録免許税や司法書士に支払う報酬も、そこそこ高くなってしまいます。

 


まとめ

平成18年に施行された会社法により、一定の要件を満たした中小規模の株式会社は役員の任期を、最大10年まで伸ばせるようになりました。

最大10年間、何の登記もしないで良い、つまり登記費用の節約になると思われるかもしれません。

 

しかし、10年間、登記すべき事由が何もなかった場合に、10年後に役員変更しないといけないことを覚えていられるでしょうか?

 

もし、その10年後に、登記申請を忘れ、たまたま取引先が御社の登記簿をご覧になられ、「解散」の文字を見つけたら、どう思われるでしょうか?

 

そのような場合、役員変更に係る登記費用以上の損失につながるのではないでしょうか?

 

また、通常の役員変更に係る登記費用以上に、解散から会社継続にするための登記費用は高額(最小限であったとても、登録免許税だけで約5倍)になります。

 

その他にも、任期を安易に10年にしたことにより、思わぬ費用がかかってしまった、というケースもあります。

 

組織形態、事業活動、御社の将来のビジョンなど、御社を取り巻く環境について再考いただく際に、役員の任期についても、改めてお考えいただければと存じます。

 

なお、当事務所と顧問契約を締結させていただいた企業様には、当事務所が責任をもって任期の管理もさせていただきます。

 

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