人生100年時代を迎え、家族信託の導入を検討される方が増えています。
当事務所では、このような皆さまのご要望にお応えできるように、民事信託士の資格を取得した司法書士がご相談に対応いたします。
委託者(財産を託す人)と受託者(財産の管理処分を託された人)との契約によって、受益者(信託契約によって利益を受ける人)のために、受託者が信託目的に従って信託財産を管理・処分等をする行為です。
なお、「家族信託」という言葉は、法律上の用語ではありません。
信託法という法律の規定に従って組成された信託のうち、ご家族及びその関係者で組成する信託のことを、家族信託と呼んでいます。
家族信託の対象となる財産を「信託財産」といいます。
この信託財産とは何か?を理解することが重要です。
信託について書かれた一部の本や雑誌、講演などを聴いていると、「家族信託」こそが最強であり、「家族信託」さえあれば、遺言や成年後見などの制度は不要と受け取られるような内容のものがあります。
しかし、それは大きな間違いです。
確かに、信託には、他の制度にはないメリットがあります。
しかし、信託に限ったことではありませんが、利用する側にメリットのみあって、デメリットがない仕組みは世の中には存在しません。
きちんと契約書を作り上げることは、もちろん大事です。
しかし、それはまだスタート時点に立ったに過ぎません。
家族信託は、数十年続く契約です(信託契約後から終了までの期間を「信託期間」といいます。)。
長い時間が経過すると、どうしても次のような問題が生じてしまいます。
委託者の財産から信託財産にすることで、信託法上のメリットを享受できるようになりますが、きちんと信託として維持できていなければ、信託自体を否定される可能性もあります。
つまり、信託は、作るだけではなく、きちんと信託として維持・運営していく必要があります。
家族信託の当事者は、一般の方を想定しております。
一般の方が、きちんと信託の仕組みを理解して、維持管理していくのは困難であると思われます。
信託監督人または受益者代理人あるいは他の制度を併用しながら、 きちんと信託として機能させていく必要があります。
否定的なことばかり書いているので、家族信託の導入に消極的なのでは?と思われるかもしれません。
決してそんなことはありません。
ご相談の結果、家族信託の導入が最適だと判断した場合には、積極的に進めていきます。
家族信託は、仕組みが複雑で、税金面でも分かりづらく、まだまだ未成熟な仕組みです。
ご本人だけではなく、他のご家族(ケースによっては孫やひ孫)まで巻き込んでしまいます。
導入後数年経って、「こんな予定ではなかった」とならないように、慎重に導入を検討されることをお勧めいたします。