宅地建物取引業(以下、「宅建業」といいます。)の事業を開始するためには、知事又は国土交通大臣の免許を受ける必要があります。
不動産を扱うのであれば、すべて宅建業の免許申請が必要というわけではありません。
以下に該当する場合には、宅建業の免許申請が必要です。
反対に次のような場合には、免許申請が不要です
以上を表にすると、以下のとおりです。
自己物件 | 他人の物件 | 他人の物件の媒介 | |
売買 | 要 | 要 | 要 |
交換 | 要 | 要 | 要 |
賃借 | 不要 | 要 | 要 |
宅建業の免許は、個人であっても申請可能ですが、事務所を設置する場所などにより、知事免許と大臣免許に分かれます。
知事免許と大臣免許と区分されていますが、宅建業の効力としては同じです。
たとえば、兵庫県で免許を受けた宅建業者は、北海道の物件を取り扱うことができます。
宅建業者の規模の大小や事務所の数で申請先が異なるわけではありません。
ポイントは、複数の都道府県に事務所を置くかどうかです。
たとえば、兵庫県内に4つの事務所を設ける場合には知事免許です。
兵庫県と大阪府に2つの事務所を設ける場合には大臣免許となります。
上記のとおり知事免許と大臣免許の2通りありますが、これからは知事免許を前提に記載します。
前述のとおり、個人での法人でも、免許申請は可能ですが、以下の場合には免許を受けることができません(以下「欠格要件」といいます)。
免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合
申請者の法定代理人(※3)、役員(※4)又は政令使用人(※5)が上記②、③、④又は⑤に該当する場合
事務所に専任の宅地建物取引士を設置していない場合
宅建業を行うにあたり、何らかのトラブル・事故が発生し、宅建業者が代金を支払えなくなった場合に備えて、あらかじめ代金を国に預けなければなりません(保証供託)。
主たる事務所、つまり本店の最寄りの供託所(法務局)に供託します。
前記のとおり保証金は免許取得前に納めなければなりませんが高額です。
そこで、多くの宅建業者は、保証協会に加入し、保証供託に代えて、「弁済業務保証金分担金」または「弁済業務分担金」(以下「分担金」といいます。)を支払うことで、開業時の負担を軽減させることができます。
分担金を支払えば、予期せぬ事故のときに分担金以上の額の損害賠償等の支払金額を免れるわけではありませんので、ご注意ください。
万が一、事故が生じた場合には、被害者保護のために保証協会から被害者に対して弁済されますが、保証協会は事故を起こした宅建業者に対して弁済した額の支払を求めます(求償)。
あくまでも、開業時の負担を一時的に軽くする制度だと考えていただいたほうが良いでしょう。
不動産業を営む場合には、上記保証金の関係もあって、宅建協会または全日不動産のいずれかの協会に加入されます。
それぞれの行っている協会の事業内容に大差はありませんが、会員に対して提供されるサービスや会費などが異なりますので、ホームページなどをご覧いただき、適切なほうを選択いただくことになります。