たかが登記、されど登記
なぜ相続登記は放置されてしまうのか?
- 他の相続人と連絡が取れない(または、話したくない)
- 今さら面倒くさい
- 相続登記しなくても困ることはない
- 登記なんて別にやらなくても罪にならないでしょ?
- ご近所さんから相続登記は必要ないと言われた
- 登記費用が高い!
- こんな不動産を相続しても仕方ない
などなど、理由を上げればキリがありません。
様々な理由により、相続登記を放置している方が多くいらっしゃいます。
現行の法令上、相続登記は法律上は任意です。
つまり、やるかやらないかは、みなさんがそれぞれ判断してください、ということです。
第三者から不動産を購入する場合、通常、不動産会社が仲介に入ります。
仲介会社が準備する売買契約書には売主から買主に登記することを義務付けした条項が入っているため、きちんと手続を行っていれば問題になることはありません。
また、住宅ローンを利用する場合には、購入した不動産を担保にするため、抵当権設定登記をします。その前提として、必ず所有権移転登記がなされます。
つまり、売買の場合は、事実上、登記することが義務となっています。
一方、相続登記は、そのような縛りがありません。
そこで、「相続登記を放置する」という事態が発生します。
Q.相続登記はしたほうが良い?
相続登記は、早めにしたほう良い。
Q.相続放棄を放置すると何がマズい?
結果として、後でやると費用が高額になることがある。場合によっては、必要なときに相続登記するのに相当苦労する。
理由はいくつかありますが、事例をもとに代表的なものを説明いたします。
【事例】
父親が亡くなり、相続人全員で遺産の承継について話し合いが行われました。
相続人は、長男・二男・長女の3人です。
話し合いの結果、同居していた長男が相続すれば良い、と合意しました。
しかし、話し合って合意しただけで、遺産分割協議書すら作成せず、相続放棄を放置していました。
そして、10年後に長男が不動産を売却しようと、不動産会社を訪れました。
不動産会社の方から「相続登記してから来てください」と言われました。
まず、不動産の登記名義を移す場合に、現在の登記簿上の所有者が亡くなっている場合には相続登記をしておく必要があります。
亡くなった方は、この世にいないので「自分の意思で」登記手続をすることができない、だからその不動産を受け継いだ相続人がしなさい、という理屈です。
1.後からの手続は揉める可能性を秘めている。
いざ相続登記しようとする場合に、遺産分割協議書への押印など長男以外の相続人全員の協力が必要になります。
そうすると、他の相続人から協力を得られなかったり、最悪の場合は「そんな合意していない」と言われて前に進まないことがあります。
結果的に、遺産分割調停など裁判所のお世話になったり、相続登記が進まず不動産を思うように売却できなかったりします。
2.合意した相続人がいなくなる(その1)
まずは、単純に相続人同士が疎遠になり、連絡が取れなくなる場合です。
上記1で説明したとおり、遺産分割協議書には相続人全員の協力が必要です。
相続人の一人にでも連絡が取れず、協力が得られない場合には相続登記が難航します。
3.合意した相続人がいなくなる(その2)
次に、合意した当時の相続人が亡くなった場合です。
この場合は、亡くなった方のお子さんが相続人となります(数次相続)。
つまり、孫が相続人として関与することになります。
孫の世代なら、まだ大丈夫かもしれません。
もし、その孫も亡くなると、さらに曾孫が相続人となります。
(こうなると、お互い知らない者同士になっていることがほとんどですよね。)
この場合、2つの問題点があります。
①まず相続人を確定するために探すのに苦労する。慣れた司法書士がやっても、相続人調査だけで3か月以上かかることもある。
②その当時の遺産分割協議の内容なんて知らない、と言って協力を拒否する相続人が現れる可能性がある。
後の世代のためにも、登記は早めにされることをオススメいたします。
相続に関するご相談は、当事務所へ。
TEL 078-200-4343
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